tadashi's blog

私は在野の研究者です。日本語教師をしながら、日本語の「は」「が」の使い分けを解明する理論に至りました。それから、この理論を文法基礎理論として体系化し、また、それらを裏付ける哲学的かつ科学的に裏付けの研究に進みました。

2019-01-01から1年間の記事一覧

1000アクセス達成しました!

みなさん、たった今、2019年9月27日22時55分、通算1000アクセス丁度になっているところを確認しました。 今月に入ってからなぜか加速度的に増えて300アクセス/月です。なぜにこうなったんか分かりませんが、科学者の予想を超える速さで溶けている北極の氷の…

日本語の「は」は、主題ではなくて、「題目」と言ったほうが正確であり、さらに、判断性のコピュラ機能がより基底レベルにあること。

日本語の「は」は、(主題ではなく)「題目」を示す機能を認めるべきだが、それだけではないこと。 同じく、日本語の「が」は、主格を示す機能だけではないこと。 ここでは、基礎理論として前の記事に書いた理由にしたがって、「主題」と「題目」を区別して…

ゴゲイト&ホリックの論文「幼児の言語習得の多重感覚基盤仮説」(2011)の意義

さて、ひさびさの更新です。 わたくしの日本語の基礎理論の研究が煮詰まってきたころでしたが、日本語文の形式構造の二元論(経験を記述する事態直観文と対象のカテゴリーや性質・状態に関する定性関係判断文の二元論)という抽象的な部分がまとまった後で、…

人類の未来のための基礎教養を、あなたに

こういう方向で… 以下の内容は、今後、自分がどう世の中と関わって生きていくか、 可能性を整理してみたものなのである。 小さい現実とマクロな問題意識がごっちゃまぜ! 講師業 日本語学校教師 日本語教師養成講座講師 または 養成終了後の試験対策個人指導…

メモ ザハヴィ「フッサールの遺産」を読み始めた。

現象学の暗黙知次元の貢献としては、ことばの用法を根底から転轍したことがあるのでは?(論理から攻める言語哲学隆盛の陰に隠れてあまり表立って主張されない?) www.h-up.com 方法的懐疑ではなく方法的判断中止から反省を始めるにあたり、これを継承し新…

主格vs.能格

books.kenkyusha.co.jp 買っちまったよ。買うてもうたぁ。 はたして日本語基底文を主格ー述語としたことは良かったのか? これを読んで、言語類型論の観点から、検討します。

基本構文表 「XはY」「XがY」「XはYがZ」を基底文からの派生として基礎づけする

基本構文表 「XはYがZ」構文の基底文の観点による分析 1 基本構文表 基底文、交差対立の観点から、基本構文を確定する手順は、次の通りである。 純然たる形式から見た場合、本書が基本構文とするのは、「XはY」(有標・無標)、「XがY」(有標・無標)、それ…

もっとも初期の言語習得に関する知覚を基盤とした研究:経験主義的な言語観

www.routledge.com <意識と言語の癒合>と題した記事で紹介した論文(Gogate, Hollich; 2011)の著者らの近年の成果をまとめた本です。昨日うちにとどきました。 4-6ヶ月という、はじめの数語をものにする期間の幼児の言語習得に関する多分野の研究を総合す…

<「は」と「が」の交差対立>と「基底文モデル」(つづき)  交差二項対立による含意発生のメカニズム:    個人的意識間のコミュニケーションとしての文の伝達経路

「事態・直観文」であれ、「定性関係・判断文」であれ、「は」と「が」の交代によって有標化するかしないか、これは機械的に決まっていた。これまで調べた例では、事態文か定性関係文かという命題タイプの二元的区別上に、「は」または「が」のどちらが入っ…

日本語文の体系的文法記述のための文機能分析方法論③

3 主題—題述構造を主格—述語構造の基底から見ることの妥当性と優位性 この章では、ここまで、もっぱら文法現象事実の分析、理論的解釈について考察してきた。次に、理論の体系性の見地から、基礎理論構想の妥当性、大局的見地の比較優位性があるとすれば、ど…

日本語文の体系的文法記述のための文機能分析方法論②

日本語文の体系的文法記述のための文機能分析方法論② 2 基底文形式の妥当性の前提:主格、対格などの省略と述語の縮約 2-1 日本語文の省略と縮約の実際と理論 繰り返しになるが、日本語の文の最小単位としての機能的形式を、「基底文モデル」として提起する…

日本語文の体系的文法記述のための文機能分析法①

日本語文の体系的文法記述のための文機能分析法① この章は、次章以降の本文部分、基底文の理論、交差対立の理論を開示するお膳立てである。主格の省略の扱い、日本語の主格の問題、主格につく助詞「は」と「が」の主格への関与につながる分析法について述べ…

意識と言語の癒合

さて、このブログを開始して、すでに100を超えるアクセスをいただきました。ありがとうございます。 できましたら、読みづらい箇所、理解しがたい用語などについて、指摘や質問していただけるとありがたく存じます。 きょうは、ここで、日本語文法の基礎理論…

在野研究に至った経緯と現状

ダーウイン「種の起源」が出てから、また、現象学の始祖フッサールが生まれてからも、ちょうど百年後にあたる1959年に私は生まれました。幼稚園の頃から、大勢に同調するのが苦手で会社員のようなことはできないと想像していたこともあって、小説家になろう…

参考文献表を兼ねた先行研究年表

参考文献表を兼ねた先行研究年表 発表年 タイトル 論文には「」を付した。他は書籍のタイトルである。 基礎概念・主張など 研究者 1933 標準日本語口語法 「は・も」の提題 松下大三郎 1940 現代日本語法の研究 ①「は」の提題と判断 ②現場・発言の場・課題の…

基底文の下位区分③ 措定文の応用

「措定文」の応用 1定義:(XというのはYだ)などの名詞句と名詞述語によって 成り立つ文 「宇宙線とは原子核の流れだ」 *言語を言語で定義するもので、メタレベルにシフトしている。 2パラメータ指定「現在の気温は24度だ」 「火事の原因はタバコの火の…

基底文の下位区分② 定性関係文

「定性関係文」の下位分類による例示 定性関係文は、まず、名詞述語文と形容詞述語文と主格主語に「Xは」と「Xが」をとるものがある。「Xは」をとるのは、⑴相対的に恒常的な性質の関係づけを表現する文のすべて、⑵現場の現認に基づいて、一時的あるいは偶然…

基底文の下位区分① 事態文

A:<事態文>の下位分類による例示 無標の「事態文」は、共通の「X+が+動的動詞」形式をもち、意味機能において、眼前の出来事を描写叙述する文である。 事態文の下位的類型を列挙する。 出来事:ある対象の動きや変化を表現する。述語は動的動詞である。…

「定性関係・判断文」の<「は」→「が」交代>による有標化含意分析

同様に、この項目も、これまでの主張を論証するための分析の続きである。 「定性関係・判断文」の<「は」→「が」交代>による有標化含意分析 「定性関係・判断文」において、「は」と「が」を交代させるとどうなるだろうか。 文d これ [∅] みかん 文e これ …

「事態(出来事)・直観文」の<「が」→「は」交代>による有標化含意分析

以下は、基底文全体の有標化現象を論証するための分析である。 「事態(出来事)・直観文」の<「が」→「は」交代>による有標化含意分析 まず、「雨が降っている」という文の助詞の機能に着目する。 「は」も「が」も入らない「雨 ∅ 降って(い)るよ」とい…

「基底文モデル」の厳密な記述

「基底文モデル」の厳密な記述:基底命題の意味タイプによる、定性関係・事態性に基づくより詳細な「基底文」類型 「基底文の2形式」の区別は、構成要素となる各形態素の機能の分析と並んで、言語学的議論の補強のために認識論と形式論理学の両面から見て決…

「は」と「が」の交差対立理論の概要⑧ 有標化した場合の含意の文脈依存性

有標化した場合の含意の文脈依存性 ここでは、個別の事例分析に入る前に、交差対立により生じる含意に関する結論を先にまとめて述べておく。最終的には、文の発信者にとって命題内容が新規である場合と、文の受信者にとって命題内容が新規である場合に分けて…

「は」と「が」の交差対立理論の概要⑦ 有標化による含意効果分析と先行研究:久野暲「が」の中立叙述、尾上圭介「は」の二分結合説の再解釈

交差対立の有標・無標を、先行研究との一致と相違によって対比して説明する。 久野の「雨が降っている」を「中立叙述」とする理論的解釈がある。これは、AとBの対比のみに由来する。つまり、久野は、B「これがみかんだ」には、A「雨が降っている」にない…

「は」と「が」の交差対立理論の概要⑥ 有標化による含意効果の分析

「は」と「が」の交差対立有標化による含意効果の分析 <基底文を有標化する「は」と「が」:交差対立現象を可能にする二元性> 言語を運用する意識にとっては、「事態・直観文」と「定性関係・判断文」は、同一平面上の基底レベルにある。ところが、その文…

「は」と「が」の交差対立理論の概要⑤ 補足:知覚対象と語彙のネットワーク

補足:知覚対象と語彙のネットワーク 知覚対象の直観による特定は、個体、カテゴリー、事態であり、対応する日本語の抽象度の高い語彙との対応がある。 個体:固有名詞による「もの」:富士山(自然)、スカイツリー(社会文化 的実在)、東京(地名)など …

「は」と「が」の交差対立理論の概要④ (承前)事態と定性関係の二元論/認識様態の区別、「直観」と「判断」について

事態と定性関係の二元論 基底文がそなえる命題内容の意味パタンが、「事態」と「定性関係」のわずかふたつのプロトタイプに分けられるとする理由は、第一に、日本語がそうなっているからに相違ない。 「は」と「が」の使い分けの包括理論を求めて、この結論…

「は」と「が」の交差対立理論の概要③ 「事態」と「定性関係」の認識様態の相違点:ボトムアアップ対トップダウン

<「定性関係文」の図式→文トップダウン過程の優位性:「事態文」との比較> 定性関係に関する日常言語の認識様態は、判断と直観の二つがある。 定性関係の認識が直観による場合は、前述定的な一時的認識である感覚知覚による直観を土台にする。また、定性関…

「は」と「が」の交差対立理論の概要② 「定性関係」

定性関係という用語と概念について <「定性関係・判断文」の「定性関係」の意味> 次に、三尾により「判断文」とされた、形式的に、名詞述語文と形容詞述語文をとりあげる。文を「現象文」と「判断文」を二元的分類枠組みとする三尾砂の問題は、認知内容と…

「は」と「が」交差対立理論の概要① 「基底文モデル」「事態」

本書の結論:基礎理論の核心:「基底文モデル」理論の概要 「基底文モデル」 言語現象としての日本語の文の基底レベルの機能は、命題内容を構成する機能の最小単位が担っているという作業仮説を立てた。その最小単位は、あらゆる文の原基的形態でもある。 ま…

「は」と「が」の交差対立理論の核心を表現する表

「は」と「が」の交差対立理論の核心を表現する表 表1:「基底文モデル」の命題内容と認識様態と「は」「が」の関係図 認識様態 直観(が) 判断(は) 命題内容 事態 A事態・直観<無標> 「雨が降っている」 C事態・直観+判断<有標> 「雨は降っている…