2019-02-02から1日間の記事一覧
「措定文」の応用 1定義:(XというのはYだ)などの名詞句と名詞述語によって 成り立つ文 「宇宙線とは原子核の流れだ」 *言語を言語で定義するもので、メタレベルにシフトしている。 2パラメータ指定「現在の気温は24度だ」 「火事の原因はタバコの火の…
「定性関係文」の下位分類による例示 定性関係文は、まず、名詞述語文と形容詞述語文と主格主語に「Xは」と「Xが」をとるものがある。「Xは」をとるのは、⑴相対的に恒常的な性質の関係づけを表現する文のすべて、⑵現場の現認に基づいて、一時的あるいは偶然…
A:<事態文>の下位分類による例示 無標の「事態文」は、共通の「X+が+動的動詞」形式をもち、意味機能において、眼前の出来事を描写叙述する文である。 事態文の下位的類型を列挙する。 出来事:ある対象の動きや変化を表現する。述語は動的動詞である。…
同様に、この項目も、これまでの主張を論証するための分析の続きである。 「定性関係・判断文」の<「は」→「が」交代>による有標化含意分析 「定性関係・判断文」において、「は」と「が」を交代させるとどうなるだろうか。 文d これ [∅] みかん 文e これ …
以下は、基底文全体の有標化現象を論証するための分析である。 「事態(出来事)・直観文」の<「が」→「は」交代>による有標化含意分析 まず、「雨が降っている」という文の助詞の機能に着目する。 「は」も「が」も入らない「雨 ∅ 降って(い)るよ」とい…
「基底文モデル」の厳密な記述:基底命題の意味タイプによる、定性関係・事態性に基づくより詳細な「基底文」類型 「基底文の2形式」の区別は、構成要素となる各形態素の機能の分析と並んで、言語学的議論の補強のために認識論と形式論理学の両面から見て決…
有標化した場合の含意の文脈依存性 ここでは、個別の事例分析に入る前に、交差対立により生じる含意に関する結論を先にまとめて述べておく。最終的には、文の発信者にとって命題内容が新規である場合と、文の受信者にとって命題内容が新規である場合に分けて…
交差対立の有標・無標を、先行研究との一致と相違によって対比して説明する。 久野の「雨が降っている」を「中立叙述」とする理論的解釈がある。これは、AとBの対比のみに由来する。つまり、久野は、B「これがみかんだ」には、A「雨が降っている」にない…
「は」と「が」の交差対立有標化による含意効果の分析 <基底文を有標化する「は」と「が」:交差対立現象を可能にする二元性> 言語を運用する意識にとっては、「事態・直観文」と「定性関係・判断文」は、同一平面上の基底レベルにある。ところが、その文…
補足:知覚対象と語彙のネットワーク 知覚対象の直観による特定は、個体、カテゴリー、事態であり、対応する日本語の抽象度の高い語彙との対応がある。 個体:固有名詞による「もの」:富士山(自然)、スカイツリー(社会文化 的実在)、東京(地名)など …
事態と定性関係の二元論 基底文がそなえる命題内容の意味パタンが、「事態」と「定性関係」のわずかふたつのプロトタイプに分けられるとする理由は、第一に、日本語がそうなっているからに相違ない。 「は」と「が」の使い分けの包括理論を求めて、この結論…
<「定性関係文」の図式→文トップダウン過程の優位性:「事態文」との比較> 定性関係に関する日常言語の認識様態は、判断と直観の二つがある。 定性関係の認識が直観による場合は、前述定的な一時的認識である感覚知覚による直観を土台にする。また、定性関…
定性関係という用語と概念について <「定性関係・判断文」の「定性関係」の意味> 次に、三尾により「判断文」とされた、形式的に、名詞述語文と形容詞述語文をとりあげる。文を「現象文」と「判断文」を二元的分類枠組みとする三尾砂の問題は、認知内容と…
本書の結論:基礎理論の核心:「基底文モデル」理論の概要 「基底文モデル」 言語現象としての日本語の文の基底レベルの機能は、命題内容を構成する機能の最小単位が担っているという作業仮説を立てた。その最小単位は、あらゆる文の原基的形態でもある。 ま…
「は」と「が」の交差対立理論の核心を表現する表 表1:「基底文モデル」の命題内容と認識様態と「は」「が」の関係図 認識様態 直観(が) 判断(は) 命題内容 事態 A事態・直観<無標> 「雨が降っている」 C事態・直観+判断<有標> 「雨は降っている…