「は」と「が」の交差対立理論の核心を表現する表
「は」と「が」の交差対立理論の核心を表現する表
表1:「基底文モデル」の命題内容と認識様態と「は」「が」の関係図
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認識様態 |
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直観(が) |
判断(は) |
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命題内容 |
事態 |
A事態・直観<無標> 「雨が降っている」 |
C事態・直観+判断<有標> 「雨は降っている」 |
定性関係 |
B定性・関係+直観<有標> 「これがみかんだ」 |
D定性関係・判断<無標> 「これはみかんだ」 |
この表は、AとDが文全体で無標であり、BとCが文全体で有標であることを示している。
上の図を簡単に解説すると、文の命題内容は、時間軸上の特定の事態であるか、相対的に恒常的な定性関係であるかの二種類がある。事態も関係も、文を生成し発信する話者にとっての認識対象に関する命題である。
また、文を構成する命題内容の認識様態は、直観であるか、判断であるかの二種類がある。[事態/定性関係×直観/判断]の二掛ける二で、四種の文の分類ができる。
日本語の文の最も基本的な仕組みは、この四種の文であり、さらに複雑な構文、文型、ディスコースは、四種の文の派生形とみなすことが可能である。
(次の項では、日本語文法の基礎理論の用語としての「事態」「直観」「定性関係」「判断」の概念規定を説明します。)